親不知海岸と姫川薬石

親不知海岸と薬石
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虎目の石を探しにいく

北陸新幹線で富山と金沢に行ってきたのだが、どうしても行きたいところがあった。新潟県の糸魚川市の親不知海岸というところにある姫川薬石という石を拾いにいきたいのだ。そこで富山駅からあいの風とやま鉄道という電車に揺られて親不知駅へ向かうことにした。

姫川薬石とは

糸魚川周辺の地元では虎石とか姫川薬石と呼ばれるこの石は新生代古代第三紀(およそ6000万年前)の火山噴火によって噴出した流紋岩質溶岩などからなる石の事。噴出したばかりの流紋岩質溶岩は灰白色だが、熱水に溶け込んだ鉄イオンや物質の沈殿作用、変質作用を経て美しい虎の目のような模様が出るのである。海外では、この薬石の美しい模様から額に入れピクチャーストーンとして鑑賞する事もある。

多孔質の石

姫川薬石の薬としての効果などは実証されていない。おそらく姫川薬石と同様の火山岩である麦飯石が多孔質で水中のカルキや有機物を吸着し水質浄化することから、同じような作用があると考えられる。炭を水に入れるとまろやかになるような効果と一緒なのかな。

虎目模様がきれい

この薬石を見たのはミネラルショーでした。もともと薬石の薬としての効果に興味があったのではなく、綺麗な虎目の模様が気に入ったのだ。しかもその虎目も本来灰白色だった石が数千万年という途方も無い年月を掛け変質作用によって美しい模様が出来たという、その模様に至る過程も良いと思った。もともと石に関しては鉱物の宝石的な価値よりも途方も無い時間とかその過程に興味がある。

石拾いの注意

海岸によっては石や砂などの海砂利採取禁止しているところがある。もし石や砂を採取する場合はその海岸の自治体、国土交通省所管などに個人での石の採取に関して問い合わせするべき。そして採取の許可があっても環境の悪影響について考え、大量に採取したりしないこと。

鉱物採取の本などにも必ず載っているが、海岸に限らず、例えば鉱山のズリや山で石や砂、鉱物採取するには鉱山や山の所有者に許可を必ず取る事が基本となっている。所有者によっては有料で採取許可しているところや、採取する人のマナーの悪さから以前は採取可能だった場所が採取禁止になっていることもある。採取にもマナーを考えて過剰に採取することのないように心掛けたい。

フォッサマグナミュージアムで鑑定してくれる

糸魚川は翡翠で有名なのだが、翡翠は今回は目的ではなく、姫川薬石を拾いに行く。ちなみに河川での翡翠や薬石の採取は禁止されているので必ず海岸で石拾いをする。禁止事項等分からない事はミュージアムなどで問い合わせると良いのではないだろうか。拾った石は糸魚川ジオパークのフォッサマグナミュージアムに行くと一人10個まで学芸員が鑑定してくれる。翡翠探しや薬石探しをして、本物なのか自信の無いときはフォッサマグナミュージアムに持っていくと良い。特に翡翠は似たような色の偽物の石があってキツネ石と呼ばれている。

親不知駅

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無人駅だったので電車の中の駅員さんに降りる時に切符を渡した。駅舎に掲げてある親不知駅の看板の書体が格好良い。駅から親不知海岸のある親不知ピアパークを目指す。駅前には道が一本しかないので迷う事は無い。国道8号線沿いを右を海岸、左が断崖の道を15~20分くらい歩けば道の駅親不知ピアパークに到着する。

親不知ピアパーク

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海水浴シーズンでもない平日なので人が全くいない。

ピアパークのシンボル海亀の像

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ピアパークの前にある広場で一番存在感のあるシンボルである海亀の像は、全長6m、重さ5トン世界一のブロンズ製海亀像とのこと。ほかにもグラフィックデザイナー粟津潔氏による大陶壁画がある。

親不知ピアパークで情報収集

親不知ピアパークの売店にも海岸で拾った姫川薬石が販売されていた、親不知ピアパークのでは、海水浴など人が多いシーズンは翡翠ふるさと館の職員さんが拾った石が翡翠や薬石かどうか鑑定してくれるので、フォッサマグナミュージアムまで行って鑑定してもらう時間がない人はこちらで見てもらうのも良い。ほかにも石拾いの指南したチラシなんかもあったので、いきなり石探しするのではなくピアパークを覗いて情報収集してみるのも良いだろう。

親不知海岸

親不知海岸の説明イラスト

海岸は石拾いに夢中になってしまい、あまり良い写真を撮れなかったのでイラストで描いてみた。

切り立った崖

目の前には親不知の由来となる切り立った崖がある。崖は親不知と子不知2つの崖に分かれているが、2つの総称を親不知と呼ぶのである。非常に険しい断崖絶壁と高波の険しい難所、昔はこの場所を通り抜ける時に親は子を子は親を省みる事も出来ない程の険しい道程ということから親不知という名称になったという説がある。今は親不知海岸高架橋があるので楽々と通り抜ける事が出来る。

親不知ピアパーク

食事所と海産物の土産を販売するところ、石の情報館などがある。ピアパークにて情報をいろいろ聞いたあとに目の前のゴロゴロ石があふれる海岸で石を拾い始めた。

探し始めると実に様々な色や形の石で溢れている。ピアパークで聞いた情報を頼りに虎目の石を探す。2時間くらい探しただろうか。探していると目が慣れてきたのか、ぽつぽつとそれらしき石を見つける事が出来た。

拾った薬石

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沢山取りすぎても良くないので虎目の綺麗な石を厳選して5つだけ持って帰る事にした。念のためピアパークで拾った石が薬石かどうか見て頂いた。姫川薬石とのこと。石を拾いにくる人は翡翠目当ての人が多数で、薬石拾いにくる人は珍しいと言われてしまった。

ほぼ1日時間を費やして黙々と石拾いをしたが、沢山の石のなかから目当ての石を探し出す。宝探しのようで充実した時間だった。

イラストレーター
キャラクターデザイナー
プクムク/pukumuku


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